WEP(米国)

棚ぼた排除規定(WEP)とは?

日本の年金を受給していると、米国年金の受給金額が減額されることがあります。米国年金の受給手続きをしている過程で減額されることを知り、戸惑いや、憤慨される方が増えております。そこで、減額の根拠となる棚ぼた排除規定(WEP)についてQ&Aでご説明いたします。

Q-1 どんな場合に減額の対象となるのですか?

外国(米国外)などで、ソーシャルセキュリティー税(SSTax)が徴収されていない仕事に従事し、その結果としての年金を受け取っている場合です。日本の年金を受給していると、それに該当していると判断され、日本の年金額の一部に相当する額が米国の年金額から減額されてしまいます。

Q-2 減額の対象は日本人だけなのですか?

SSTaxが徴収されてない仕事にもとづいて米国外の公的年金を受け取った場合、WEPにより米国人、日本人のみならず全ての外国人が米国年金の減額の適用対象となります。

Q-3 具体的に対象となる日本の年金はなんですか?

厚生年金、共済年金等の公的年金だけです。但し、国民年金は個人で積み立てた年金であり仕事に基づいて得た年金ではないので対象外です。私的年金も対象外です。

Q-4 適用の例外となるケースはありますか?

その主たるものは(1)遺族年金受給者(2)米国年金加入期間中、30年以上の社会保障上の高額収入(substantial earning under Social Security)を得ていた方の場合です。

Q-5 米国年金の加入期間が10年(40クオーター)未満なので、日米の年金加入期間を通算して米国年金を受け取る場合はどうなりますか?

日米社会保障協定を活用して米国年金を受け取る場合は、本来の年金支給では無いとの判断から減額されません。

Q-6 WEPと日米社会保障協定は何か関係があるのでしょうか?

関係はまったくありません。日米社会保障協定が発効したのが2005年10月であり、WEPはそれ以前から適用されておりました。 因みに、日米社会保障協定により、日米両国の社会保障制度(年金、医療保険)のうち、いずれか一方のみに加入すればよく、また年金を受けるために必要とされる年金加入期間は、日米両国の年金加入期間を相互に通算できる こととなりました。その結果、企業、派遣員ともに大きな恩恵を受けています。

Q-7 WEPはいつ頃から制定されたのですか?

Social Security Administrationが1985年頃制定した規定ですが、それがいつから日本の年金にも適用になったのかは分かりません。

Q-8 減額された年金額はどのような流れで連絡がありますか?

米国年金の受給申請手続きにSSオフィスへ行きますと窓口で「貴方は日本の年金を受給していますか」と質問され「はい」と答えると「年金額を証明するものを持ってくるよう」要請されます。年金額の証明は2カ月おきに社会保険庁から送付されてくる年金額振込通知はがきでOKです。年金額は2か月分が纏まって送付されていますので、年金月額はその半分の数値であることを明確に伝えてください。その後、WEP調整後の年金額が通知されて来ます。

Q-9 どのくらい減額されるのですか?

減額の計算式は、棚ぼた排除規定(WEP)に明記されています。米国年金の基本年金額は、Social Security Actの第215条に定められている通りインフレ調整後の平均月収に還元率を掛け算出します。平均収入月額が3分割され、3つの還元率を使って掛け算されます。例えば平均月収が5000ドルの方は、最初の612ドルは0.9倍され、次の613ドルから3689ドルは0.32倍、そして残りの3689ドルを超える1311ドルは0.15倍された結果、基本年金額(primary insurance amount)は1730ドルとなります。これがWEP適用者の場合、最初の612ドルが0.4倍まで引き下げられます。つまり612ドル×(90%-40%)=306ドル減額となってしまいます。 一方、Social Security Act 第215条(a)(7)「保証方式」で減額はWEPの適用となる年金月額(厚生年金月額)の半額以上とならないよう保証しています。この方の厚生年金月額が500ドルの場合306ドルは半額以上の減額となるため、還元率が40%から90%に戻され基礎年金額1730ドルから500ドルの半額の250ドルが減額され、その結果、実際の受け取れる年金は1480(=1730-250)ドルとなります。この点から日本の年金額が減額に影響することになります。また、日本の年金受給者は日本の年金加入期間が比較的長期であることから「減額金額の平均は上限に近い月額300ドルから350ドルである」と聴いています。

Q-10 WEPの適用についてどのように広報されているのですか?

外国の年金受給者を意識した広報はされていないと思います。WEPの適用根拠をSSA(SS Administration)ではWEPの説明リーフレットで次のように説明しています。“社会保障給付金(SS benefits)は、労働者の退職前収入のある割合を代替(補完)することを意図しています。社会保障給付金の額は、低賃金の労働者のほうが高賃金の労働者よりも高い割合を得るように計算されており、例えば、低賃金の労働者は退職前の収入の約55%に等しい社会保障給付金を得ることができます。高賃金の労働者の平均代替率は約25%です。1983年までは、社会保障でカバーされていない仕事を主にしていた労働者は、長期の低賃金労働者であったものとして社会保障給付金が計算されました。彼らは、自分の収入に対して高い割合の社会保障給付金を受け取るのに加えて、社会保障税を支払わなかった仕事からの年金も受け取るという利点を享受していたのです。連邦議会はこの利点を排除するために、「棚ぼた排除規定」を成立させました。

Q-11それが何故日本の年金にWEPが及ぶのかはっきりしませんが?

この点はSSオフィスの窓口でも詳しく説明はなされていないようです。皆様からの声として「WEPは米国政府が米国民を念頭に法律にしたわけで、日本で働いていた時は米国とは全く関係なく日本政府に年金保険料を納めていた。その結果受け取れる当然の権利である日本の年金を何故取り上げるのか。」等のご意見を頂いております。 日本の年金受給者にとりWEPの問題点は、(1)日本の年金受給がWEP適用となる根拠が不明である(2)減額計算を含む制度全体の説明が十分でないことがあげられます。その意味で、日本人、日系人を代表する組織からSSAに対して「日本の年金受給者にWEPが適用される根拠について」の質問状を出していただくのがこの問題の解決を探る第一歩と考えております。