国別情報(米国)


米国

Q-1 日本で短期間年金に加入していたが、年金はもらえるか?

日本の年金を受け取るには、国民年金・厚生年金・共済年金の加入期間を合計して10年以上ないと、原則として年金の受給資格はありません。でも海外にいらっしゃる皆さんは諦めるのは早いのです。日本で短期間(加入期間一ヶ月以上)でも年金に加入した後、米国にいらっしゃった方は、幸せの方程式が用意されているのです。以下、加入期間10年のハードルを「米国(海外)在住期間」または「米国年金加入期間」を活用してクリアーする、2つの方程式をご説明します。① カラ期間活用方式:(日本の年金加入期間)+(日本国籍で海外在住の60歳までの期間)=10年以上 日本の年金に加入しなかった「海外在住期間」を、年金額には反映しないという意味で「カラ期間」といいます。米国滞在中、国民年金に任意加入した期間は、当然「日本の年金加入期間」に入ります。② 日米社会保障協定活用方式:(日本の年金加入期間)+(米国年金加入期間)=10年以上 これは、2005年10月に日米社会保障協定が発効したことにより新しく出来たもので、日本人、元日本人を問わず適用となります。米国年金加入期間のうち、日本の年金にも加入していた期間は「日本の年金加入期間」に含まれ、「米国年金加入期間」から除きます。この2つの方式を活用することにより、大半の方が年金の受給に必要な加入期間25年の問題をクリアーできます。但し、年金額はあくまでも保険料を実際に負担した期間、及び負担した額により決定されます。なお、米国に住んでいる方は国民年金の加入義務はありませんが、65歳まで任意加入し、年金額を増やすことができます。

Q-2 日米社会保障協定で日本の年金はもらえやすくなったのか?

日本の年金を受給するには、「加入期間」と「年齢」の2つの要件があり、「加入期間」は、米国在住の期間をカラ期間(20歳から60歳までの間に日本国籍で海外に在住していた期間)として合計して10年を満たすか、または日本と米国の公的年金に加入していた期間を通算して10年以上あれば要件を満たします。日米の年金期間を通算する方法は、日米社会保険保障協定の発効(2005年10月)により新たに認められた方法です。この協定によりどんな方が恩恵を受け年金をもらえるようになったかのか、具体例を交えてお話したいと思います。
まずは(1)カラ期間の使えない大正生まれの方の例です。昭和61年の年金制度の改正で、海外在住者のカラ期間適用制度が出来たのですが、大正生まれの方は対象外となり、カラ期間が認められておりません。大正生まれのEさんは、渡米後、約15年米国の会社で働きSS Taxを払っていました。母が日本で国民年金の保険料を払ってくれていたことを覚えていて、調べてみると国民年金の加入期間は5年、日米の年金期間を合計すると20年となり、日本の年金をもらうことが出来ました。Eさんは「亡くなった母の気持ちを生かすことが出来た」と大変喜んでいらっしゃいます。
次に(2)カラ期間はあるが短くて年金請求ができない方の例です。
昭和生まれのSさんは日本で5年間会社で働いて渡米し4年後に米国籍を取得し、日本国籍を喪失しました。そうするとカラ期間は国籍喪失までのわずか4年間となり、日本での年金加入期間5年を合計しても9年で、協定発効以前までは、受給資格に必要な加入期間10年を満たすことは出来ませんでした。しかしSさんは米国年金に10年以上加入していたので、協定により日米の加入期間を通算して15年以上となり日本の年金をもらえるようになりました。
これらの事例でお分かりのように、日米社会保障協定により多くの方が恩恵を受けることが出来るようになりました。日本で短期間年金に加入されていた方も、是非この恩恵を受けられるよう見直されてはいかがでしょうか。

Q-3 米国籍でも日本の年金はもらえますか?

日本の年金を受け取るには、国民年金・厚生年金・共済年金の加入期間の合計が原則10年以上ある必要があります。10年に満たない方は受給資格を得るために2つの方法があります。まず第1に、「カラ期間」又は「米国年金加入期間」を活用して受給資格をクリアーする。第2に、「国民年金」へ加入(日本国籍の方に限られます)して、年金額を増加し受給資格を取得する方法です。
その際、①米国年金の加入期間を活用して日本の年金を受給する方であれば、いつ米国籍に変更しても問題ありません。しかし②カラ期間を活用して日本の年金を受け取る方は、日本の保険料納付期間とカラ期間の合計が10年以上の受給条件を満たすまでは日本国籍のままでいる必要があります。
具体例でご説明します。
A子さんは日本で5年間働いて、40歳の時米国に移住しました。A子さんが年金を受給する為には加入期間が5年(=10年―5年)不足していますので、それをクリアーする為に、カラ期間(20歳から60歳までの間に日本国籍で海外に在留していた期間)を活用する場合を考えてみます。
A子さんが米国で勤めることなく例えば44歳のとき米国籍を取得した場合は、カラ期間は4年でストップしてしまいます。その為、A子さんは44歳で国籍変更をせず、45歳以降に国籍の変更をすればカラ期間5年以上が確保され、加入期間は5年+5年=10年となり、年金の受給資格を取得できることになります。
尚、A子さんは44歳で米国籍を取得した場合でも、その後新たに働くことによりSSTax(ソーシャルセキュリティー税)を支払い米国年金の加入期間1年以上を確保すれば、同様に年金の受給資格を確保できます。

Q-4受給手続の祭、「居住者証明」(Form 6166)を提出するように言われましたがどのようにすれば入手できますか?

「居住者証明書」とは、IRSから発行される「納税申告証明書(Certification of Filing Tax Return)」(フォーム6166)を意味します。Form6166は米国内歳入庁(IRS)のホームページForm6166-Certification of U.S Tax residencyから申請フォーム(Form8802)と手続き案内(General Instruction)をダウンロードすることができます。 日本における所得税の免除を受け二重課税を避けるためには、「租税条約に関する届出書」、「特典条項に関する付表」及び「居住者証明」の3点の提出が必要となります。届出書の提出は最初の年金受給手続きの時と受給開始後3年ごとに提出する必要があります。なお、3年ごとに社会保険庁から自動的に届出書等の提出書類と案内が送られてきます。
但し、日本の年金を受給しても、日本の税法で源泉所得税を徴収されない金額の方については提出を省略することができます。新租税条約発効後は原則どおり提出を求められましたが、最近日本年金機構は源泉徴収の対象にならない場合は租税条約上の書類提出を省略できるようになりました。
提出省略の可能な源泉徴収されない年金額は次の通りです。
(1)65歳未満の方・・・・年額 70万円未満
(2)65歳以上の方・・・・年額120万円未満(老齢厚生年金・老齢基礎年金合計)

Q-5 棚ぼた排除規定(WEP)とは?

日本の年金を受給していると、米国年金の受給金額が減額されることがあります。米国年金の受給手続きをしている過程で減額されることを知り、戸惑いや、憤慨される方が増えております。そこで、減額の根拠となる棚ぼた排除規定WEPについてQ&Aでご説明いたします。

Q-6 どんな場合に減額の対象となるのですか?

外国(米国外)などで、ソーシャルセキュリティー税(SSTax)が徴収されていない仕事に従事し、その結果としての年金を受け取っている場合です。日本の年金を受給していると、それに該当していると判断され、日本の年金額の一部に相当する額が米国の年金額から減額されてしまいます。

Q-7 減額の対象は日本人だけなのですか?

SS Taxが徴収されてない仕事にもとづいて米国外の公的年金を受け取った場合、WEPにより米国人、日本人のみならず全ての外国人が米国年金の減額の適用対象となります。

Q-8 具体的に対象となる日本の年金はなんですか?

厚生年金、共済年金等の公的年金だけです。但し、国民年金は個人で積み立てた年金であり仕事に基づいて得た年金ではないので対象外です。私的年金も対象外です。

Q-9 適用の例外となるケースはありますか?

その主たるものは(1)遺族年金受給者(2)米国年金加入期間中、30年以上の社会保障上の高額収入(substantial earning under Social Security)を得ていた方の場合です。

Q-10 米国年金の加入期間が10年(40クオーター)未満なので、日米の年金加入期間を通算して米国年金を受け取る場合はどうなりますか?

日米社会保障協定を活用して米国年金を受け取る場合は、本来の年金支給では無いとの判断から減額されません。

Q-11 WEPと日米社会保障協定は何か関係があるのでしょうか?

関係はまったくありません。日米社会保障協定が発効したのが2005年10月であり、WEPはそれ以前から適用されておりました。
因みに、日米社会保障協定により、日米両国の社会保障制度(年金、医療保険)のうち、いずれか一方のみに加入すればよく、また年金を受けるために必要とされる年金加入期間は、日米両国の年金加入期間を相互に通算できる こととなりました。その結果、企業、派遣員ともに大きな恩恵を受けています。

Q-12 WEPはいつ頃から制定されたのですか?

Social Security Administrationが1985年頃制定した規定ですが、それがいつから日本の年金にも適用になったのかは分かりません。

Q-13 減額された年金額はどのような流れで連絡がありますか?

米国年金の受給申請手続きにSSオフィスへ行きますと窓口で「貴方は日本の年金を受給していますか」と質問され「はい」と答えると「年金額を証明するものを持ってくるよう」要請されます。年金額の証明は2カ月おきに社会保険庁から送付されてくる年金額振込通知はがきでOKです。年金額は2か月分が纏まって送付されていますので、年金月額はその半分の数値であることを明確に伝えてください。その後、WEP調整後の年金額が通知されて来ます。

Q-14 どのくらい減額されるのですか?

減額の計算式は、棚ぼた排除規定(WEP)に明記されています。米国年金の基本年金額は、Social Security Actの第215条に定められている通りインフレ調整後の平均月収に還元率を掛け算出します。平均収入月額が3分割され、3つの還元率を使って掛け算されます。例えば平均月収が5000ドルの方は、最初の612ドルは0.9倍され、次の613ドルから3689ドルは0.32倍、そして残りの3689ドルを超える1311ドルは0.15倍された結果、基本年金額(primary insurance amount)は1730ドルとなります。これがWEP適用者の場合、最初の612ドルが0.4倍まで引き下げられます。つまり612ドル×(90%-40%)=306ドル減額となってしまいます。
一方、Social Security Act 第215条(a)(7)「保証方式」で減額はWEPの適用となる年金月額(厚生年金月額)の半額以上とならないよう保証しています。この方の厚生年金月額が500ドルの場合306ドルは半額以上の減額となるため、還元率が40%から90%に戻され基礎年金額1730ドルから500ドルの半額の250ドルが減額され、その結果、実際の受け取れる年金は1480(=1730-250)ドルとなります。この点から日本の年金額が減額に影響することになります。また、日本の年金受給者は日本の年金加入期間が比較的長期であることから「減額金額の平均は上限に近い月額300ドルから350ドルである」と聴いています。

Q-15 WEPの適用についてどのように広報されているのですか?

外国の年金受給者を意識した広報はされていないと思います。WEPの適用根拠をSSA(SS Administration)ではWEPの説明リーフレットで次のように説明しています。“社会保障給付金(SS benefits)は、労働者の退職前収入のある割合を代替(補完)することを意図しています。社会保障給付金の額は、低賃金の労働者のほうが高賃金の労働者よりも高い割合を得るように計算されており、例えば、低賃金の労働者は退職前の収入の約55%に等しい社会保障給付金を得ることができます。高賃金の労働者の平均代替率は約25%です。1983年までは、社会保障でカバーされていない仕事を主にしていた労働者は、長期の低賃金労働者であったものとして社会保障給付金が計算されました。彼らは、自分の収入に対して高い割合の社会保障給付金を受け取るのに加えて、社会保障税を支払わなかった仕事からの年金も受け取るという利点を享受していたのです。連邦議会はこの利点を排除するために、「棚ぼた排除規定」を成立させました。

Q-16それが何故日本の年金にWEPが及ぶのかはっきりしませんが?

この点はSSオフィスの窓口でも詳しく説明はなされていないようです。皆様からの声として「WEPは米国政府が米国民を念頭に法律にしたわけで、日本で働いていた時は米国とは全く関係なく日本政府に年金保険料を納めていた。その結果受け取れる当然の権利である日本の年金を何故取り上げるのか。」等のご意見を頂いております。
日本の年金受給者にとりWEPの問題点は、(1)日本の年金受給がWEP適用となる根拠が不明である(2)減額計算を含む制度全体の説明が十分でないことがあげられます。その意味で、日本人、日系人を代表する組織からSSAに対して「日本の年金受給者にWEPが適用される根拠について」の質問状を出していただくのがこの問題の解決を探る第一歩と考えております。