海外転出の時、国民年金を任意加入に変更しないと加入資格が喪失!!(2023年7月)

日本国内で国民年金に強制加入されていた方が海外に転出し国民年金に継続加入したい場合、任意加入を選択できます。その場合、日本出国時に住民票がある区市町村の役所の住民課等に国外転出届を提出後、別途国民年金課に行って任意加入への変更を届出する必要があります。

国外転出時に強制加入から任意加入への切替えの手続をすることなく国民年金の加入を継続すると、国民年金法第9条2項(日本国内に住所を有しなくなったとき加入資格を喪失する)に基づき国外転出による住民票の除票時に遡り加入資格喪失となってしまいます。

このケースに該当したAさんは65歳の年金受給申請時に資格喪失の事実を知らされました。それまで積み立てた保険料303万円は還付されました。しかし17年間支払った保険料相当分の年金を65歳から平均寿命の87歳まで受け取った場合の年金額合計約747万円から還付金303万円を差し引くと約444万円の損失となりました。老後の生活資金として長年積み立ててきた年金が受給できない事となり老後の生活設計に大きな影響となってしまいました。

この様な事例が発生する原因を考えてみると、以下の理由があります。
1. 少なくとも過去において海外転出時に国民年金の加入形態を強制加入から任意加入への切替え手続が必要であるとの広報が、厚生労働省、区市町村役所、日本年金機構から加入者に対して十分になされて来なかった。
2. 住民課等に国外転出届を提出した際に、現状国民年金の任意加入を希望するのであれば年金課を訪問し手続きする必要があるとアドバイスされていない。
3. 国外転出者にとって強制、任意の加入区分はどの様な意味があるのか。加入者は日本国籍者として老後のために保険料を正しく支払い続けているわけで、加入区分の登録の違いで年金の加入が無効となることに不条理を感じる。

以上の現況に鑑み、以下提言致しました。
1.過去国外転出届提出後、国民年金の任意加入手続きなしに国民年金保険料支払いを継続している国外居住者の国民年金受給資格を確約する救済措置をお願いしたい。
2.厚労省、日本年金機構は、地方自治体にて国民年金加入者が国外転出届を提出する際に、加入継続を希望する場合には任意加入手続きが必要との広報の徹底をお願いしたい。

年金の海外送金1本化を厚労省に要請(2023年3月)

日本の年金の振込先を米国の銀行口座に指定した場合、①銀行でハンドリングチャージ(Handling Charge取扱手数料)として約15ドルから20ドルをとられます。日本の年金は偶数月に年6回振り込まれますので、年間20ドル×6回=120ドルの出費となります②65歳以降は老齢厚生年金と老齢基礎年金の2本立てとなり別個に振り込まれますので120ドルの出費は倍の240ドルとなりご夫妻で受給しているご家庭は480ドルの負担となっています。③銀行でハンドリングチャージを課すのは止むを得ないのですが、問題は日本から送金する場合、老齢厚生年金と老齢基礎年金を個別ではなく纏めて振り込むことが出来れば、費用負担を半分にすることが出来ます。

日本の年金の送金を1本化して負担費用の軽減による実質年金額の増加を計るため、窓口である厚生労働省年金局を2月17日訪問いたしました。初めに年金局の方へ当方の活動を紹介後、問題解決の要望書を手渡しました。


年金局からは、問題に関して以下の回答および説明がありました。
・2本で送金されている理由を調べたがわからなかった。
・日本国内の年金受給者は全ての年金が1本で送金されているのに、海外厚生年金受給者だけ2本立てで送金されているのは現実的ではない。
・年金の送金には、厚労省だけではなく日本年金機構、日本銀行が関与しており現行の送金システムの見直しで支障が出ないかを確認後、システム改修費用の予算化が必要となる。
・予算化には少し時間はかかるが改修を進めていきたい。


今回の訪問で年金局には2本立て送金の問題点をご理解頂きました。また、問題解決のための対応を進めて頂けると認識いたしました。

ところで提案ですが、一本化のためのシステム改修の予算増を補う意味で、2か月に1回、年金送金の都度海外の年金受給者に送られてくる「国民年金・厚生年金送金通知書」(以下「送金通知書」)を廃止しても良いのではと思います。
毎年6月支給前に受給者には「国民年金・厚生年金保険 年金額改定通知書」が送られてきます。そこには新年度(4月から翌年3月の間)の年金額と2か月ごとの年金支払額が記載されていますので、期中で年金額が変更されない限り「送金通知書」が送られてこなくても年金額は把握できるわけです。

現に、日本国内の受給者には「送金通知書」は送られていません。今後の年金の事務コストの軽減のためにも「送金通知書」は海外の年金受給者へも廃止して良いと思います。本件に対して皆様からご意見を頂ければ幸いです。


引き続き一本化の動向を確認し実現に向けて皆さんと一緒に取り組んでまいりますのでどうぞ宜しくお願い致します。


 

SSAからの更なる吉報(2022年9月

日本の年金に対するWEP適用の変更点

① 厚生年金受給者が受給する1階部分の国民年金もWEP適用外 
日本の年金制度はすべての加入者に共通する国民年金(Basic Pension基礎年金、老齢基礎年金とも呼ばれる)の1階部分と厚生年金(Employee’s Pension Insurance 老齢厚生年金とも呼ばれる)の2階部分で構成されています。厚生年金受給者は、1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金を受給します。今回この1階部分の国民年金もWEP適用外であることが確認されました。
この決定によりWEP適用対象が、従来の1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金の合計額から、2階部分の厚生年金のみに変更となります。従いまして、WEP適用となっている米国年金加入期間10年以上(40クレジット以上)の厚生年金受給者の中には、受給額の減額幅が縮小される方が少なからず出てくると予想されます。SSAは、WEP適用開始時まで遡り受給金額を是正すると発表しています。
② 現受給者の過去減額分の是正方法
国民年金へのWEP誤適用または厚生年金受給者でWEP適用を受け米国年金の減額を受けてきた方にとり大切な情報です。今後、SSAは利用可能な受給者の給付記録等を活用して、今回の見直しにより影響が出る受給者を特定した上で、ケースバイケースで順次レビューを行います。その結果、是正の必要が認められる場合には、個別に受給者に連絡して必要な情報を求める予定です。レビューの結果、是正を要すると判断された方には、WEPが適用された時点に遡って是正されます。この作業は膨大かつ複雑ですので数年にわたる作業となると思われます。
③ 新規受給者について
米国年金に新規受給者で国民年金を受給している方については、WEPの適用を除外するよう、既にSSA本部から各ローカル事業所に対して指示書が発出されているようです。
④ WEPに関するSSA内ガイドラインの見直し
日本の国民年金をWEPの適用除外と判断したことを踏まえて、今後SSA内の所要ガイドラインの改定を行う予定です。

日本の年金に対するWEP適用の変更点は上記の通りです。


以下は、連絡事項とお願いです

1. 米国年金受給申請時にSSAから日本の年金受給確認があります。米国在住の受給者は日本年金機構から送られてくる「国民年金・厚生年金送金通知書」を証拠として提出します。通知書には基礎年金(Basic Pension)と厚生年金(Employee’s Pension)の2か月分の年金額が表示されています。①WEP適用対象は厚生年金欄の金額だけであり、基礎年金はWEP適用外であること②記載年金支給額は2か月分であることーをSSA窓口担当者に明確に伝えてください。日本在住の受給者は、「国民年金・厚生年金保険金額改定通知書」をご利用ください。
2.SSAによるWEP誤適用是正の方針は喜ばしいことですが、私としては、現場レベルでSSA本部の方針に沿って着実に是正がなされていくことが重要と考えます。つきましては、皆さんにお願いですが、今後WEPに絡んだ状況を是非私にご連絡頂ければ幸いです。この吉報が広く現場に浸透するまでウオッチし、更なる是正が必要と思われる点がないか確認したいと思います。“WEP適用見直しのとおり無事過去の誤適用が返金された”“ソーシャルセキュリティを今年から新たに受給したがWEPの適用無く満額受け取ることができた”“厚生年金受給者だが、減額される額が減り、過去の誤適用分が返金された”“送金通知書の記載額全額がWEPの対象となってしまった”等何でも結構です。

いずれにしても、私にとって官民が協力して、長年取り組んできたWEP誤適用問題がこのように100%に近い形で解決出来き、日米で活躍される方々の老後の保障に少しでも寄与出来ることはこの上ない喜びです。振り返れば、誤適用の是正が実現できたことは凄いことだと感じます。官民が一体となり日本国民(日本の年金受給者)の財産を守るために外国の規定を修正出来た事例は多くはないと思います。また今回の一連の修正が、特別立法でなくSSAからの通知一本で実現されたことにも驚いています。Fairnessを大切な規範とするアメリカなのでしょうか。

末筆ながら、在米日本大使館の冨田大使はじめ職員の皆様、とりわけ窓口担当者の方には大変ご尽力いただきました。早期解決の嘆願書を大使館・総領事館宛に投稿して下さった日米在住の皆様、更には全米の日本人会、日本商工会、コミュニティー紙関連の皆様、私の活動を支えて下さっているボランティアの皆様に心よりの謝意を申し上げます。

 

SSAからの吉報!! 国民年金はWEPの適用外と決定!!

SSA(米国社会保障庁)から2022年7月1日付けで、日本の国民年金はWEP(Windfall Elimination Provision棚ぼた条項)の適用対象外であるという通知が、Strategic and Digital Communications 室のJeffrey Buckner長官補名でメールで関係先に発送されました。突然の吉報がもたらされました。

(注:WEPとは日米の年金を受給すると米国年金の一部が最大月額$512減額されるというSSAの規定。適用対象は「勤労」に基づく年金で、「居住」に基づく「年金」は適用外。しかしながら実体は「居住」に基づく国民年金も減額の対象となっており、この誤適用を解消すべく「海外年金相談センター」は活動して来ました。)

通知によれば、(1)SSAは日本の国民年金受給者でWEP適用者の給付額の計算方法のレビューを行った結果、日本の国民年金(Japan’s National Pension)は居住に基づく年金であり、WEPを適用しないと決定(2)日本の国民年金受給者で、現在WEP適用の対象となっている方の記録をレビューし修正する(3)その結果、受給者に還元すべき年金給付があれば、自動的に支払をするとの3点が記載されています。

以上の基本方針が広報されたわけですが、詳細は不明で、今後確認して行く必要があります。Japan’s National Pensionは「老齢基礎年金」部分に該当すると思いますが、その定義やこれまでの誤適用者への返還金の算定方法、返還スケジュール、新しいルールの適用開始日及びガイドラインがどのように広報されるのか等々です。

振り返れば、私がWEP問題を知ったのは、外務省が始めた「領事シニアボランティア制度」の第1期生として2003年から2006年NY総領事館で勤務していた時でした。2008年外務省に対して「日本の年金のWEP適用除外」の要請をしましたが、「他国の制度に関する問題である」の回答で終わり、以降はもっぱらWEP制度の広報活動に努めることになりました。WEPについて全米の日系紙、日系人会への投稿や訪米しての講演を重ねました。殆どの方が初めて知る規定で、納得できない減額に驚かれ義憤を覚えられました。ソーシャルセキュリティーの受給申請をしたら、突然大切な老後資金が減額される事実を知り、嘆かれる声も多く寄せられるようになりました。

2016年国民年金に対するWEPの適用で米国年金が減額された方から相談を受けた際、SSオフィスに減額の根拠の確認を勧めました。本部に問い合わせた上でのオフィスからのレターによる回答は、本部は国民年金はWEPの対象との回答だが、自分たちは対象外であると思うという実にフェアーなものでした。私はその回答に動かされ、「国民年金へのWEP誤適用問題」に本格的に取り組むこととなりました。

2018年1月外務省北米2課を訪問し、国民年金のWEP誤適用の是正を要請。在NY日本国総領事館あてに取り組みの促進を促す投稿をHPや米国各地のフリーペーパーで呼び掛けた結果、この是正問題はワシントンDCの在米日本大使館で担当する旨の訓令が2018年8月に外務省から発令されました。

以降、大使宛早期解決を求める投稿キャンペーンを開始。全米の日本商工会議所・日系人会・日本人会にも投稿を依頼した結果、NY日本商工会議所、NY日系人会も要請文を会頭、会長名でそれぞれ送付して下さいました。また、日本からワシントンの在米日本大使館を訪問したりしましたが何ら進展は見られませんでした。

そうした中で,2020年夏以降、在米日本大使館の担当の方との定期的ミーテイングやSSAとのレターのやり取り等による問題解決への更なる取組を進めてきました。また,皆さんのご協力を得て、誤適用早期解決の嘆願書をSSA及び大使館宛に提出もしました。

そして,今年に入り、米連邦議会の米日コーカスからSSA長官宛,検討の加速化を要請するレターが発出されるなど,本件への理解,協力が着実に拡がっていった結果,今回一定の成果に結びついたものと考えます。

今回の発表は、日米から年金を既に受給してる方、将来受給する方にとり、老後の貴重な財産の確保や、老後の生活設計が可能となる大きなインパクトをもたらすものであり、官民が協力して取り組んだ大きな成果と言えます。

これまでの皆さんのご支援、ご協力に心から感謝します。また前述の通り今回の決定の詳細が不明ですので、皆さんからの参考情報をお待ちしています。

「海外年金相談センター」では5名(3名は米国在住)のボランティアメンバーで本件誤適用問題に取り組んでいますが、最終決着がつくまで頑張りますので、引き続き皆様のご支援をどうぞ宜しくお願い致します。

海外年金相談センター
市川俊治
http://nenkinichikawa.org
E-Mail shunjiichikawa@gmail.com
〒162-0067
東京都新宿区富久町15番1-2711号
TEL&FAX 03-3226-3240

ご報告:国民年金のWEP誤適用是正活動の現況(2022年5月)

  • 昨秋、国民年金へのWEP誤適用是正嘆願書署名キャンペーンのお願いをいたしましたが、無事完了しSSAと在米日本大使館に嘆願書を届けることが出来ました。ご協力ありがとうございました。よって現在は「署名キャンペーン」や「募金活動」はいたしておりません。
  • 昨年からは、ワシントンの在米日本大使館と当該問題の早期解決のための定期的ミーテイングが開始され、またSSAとのレターのやり取りによる問題解決への取り組みを行っています。
  • 今年に入り届いた嬉しいニュースとしては、米日コーカス(米議会における唯一の正式な対日議連)米議会の共同議長(JOAQUIN CASTRO下院議員(民・テキサス州)及びADRIAN SMITH下院議員(共・ネブラスカ州))から、Kilolo Kijakazi社会保険庁(SSA)長官宛に本年1月27日付で、「米国年金に関するWEPの適用と国民年金の扱い」との表題で、“SSAが誤適用問題を何年も未解決のままにしていることを懸念しており、その検討を加速させることを要請する”趣旨のレターが出されたことです。このレターを受けてSSAが誤適用の早期解決につながる契機になることを、皆さんと共に大いに期待したいと思います。
  • 米日コーカスは、貿易投資,安全保障,地域の安定,軍事面での協力,エネルギー,技術開発,環境をはじめとする日米両国が共通の関心を有する課題について二国間協力を推進することを目的とする米国連邦議会における議員連盟です。
  • さて、本年3月私は、事情によりNSCA(Nenkin Support Center of America)の代表を退き、NSCAを退会いたしました。今後は2年前に戻り当該「海外年金相談センター」をベースに、“誤適用早期解消”の活動を続けて参りますので、引き続きご支援を宜しくお願い申し上げます。

緊急報告#7 (2021年9月)

国民年金へのWEP誤適用是正嘆願書署名キャンペーンのお願い

 国民年金の受給者が米国のSSA(米国社会保障庁)が定めるWEP(Windfall Elimination Provision 棚ぼた排除規定)の誤適用により、米国年金の減額という形で貴重な老後の生活資金が侵され続けています。
 この誤適用の早期是正を目指して米国非営利法人NSCA(Nenkin Support Center of America)を2020年8月に3名の発起人で設立いたしました。この場をお借りしてNSCAの活動状況の近況報告を兼ねて嘆願書署名キャンペーンのお願いをさせて頂きます。
 設立以降、昨年10月クラウドファンディングにより117名の方から110万円の支援を賜り、それを基にNSCAの広報活動の一環として3回のWebinarを開催し1,100名以上の方が参加されました。ラジオやテレビを通じてWEP誤適用の実態を全米の皆様に伝える機会もありました。今年の5月から“月刊ニュースレター”の発刊が開始しております。
 こうした広報活動を通じてNSCAの活動を知り、活動に賛同し活動の支援や寄付の申し出といった励ましの言動を頂くにつけ、大変ありがたく一同勇気づけられております。

 さて、今般Change.orgという嘆願書署名サイトを活用して、駐米冨田浩司特命全権大使とSSA Kilolo Kijakazi長官代行宛に嘆願書キャンペーンを開始しました。冨田大使にはSSAとの交渉を加速し早期の解決に結びつくよう、SSAのKijakazi長官代行には誤適用の早期解消を求める嘆願です。

 嘆願書キャンペーンに是非ご賛同いただき以下のキャンペーンサイトを通じて投稿下さるようお願い致します。是非皆さんの署名をお届けください!!
 また、お知り合いの方に、この投稿キャンペーンの情報を拡散して下されば幸いです。キャンペーンは11月末までに1,000件を目標としています。

 Change.orgは、世界で4.5億人が利用する経済的正義、刑事司法における正義、人権、教育、環境保護、動物の権利、健康、そして持続可能な食品を中心テーマとした嘆願書署名サイトです。
キャンペーンサイト
駐米冨田大使宛          http://chng.it/5JWFCXTc
SSA Kilolo Kijakazi長官代行宛  http://chng.it/yFQJsZsM


緊急報告#6 (2020/9/10)

国民年金への実質減額是正活動の新しい展開

 米国年金の受給者が日本の年金を受給すると米国年金の一定額が減額されてしまう根拠法WEPの国民年金への非適用を求めて、これまで皆さんと共に活動をしてまいりました。

 2018年1月に外務省北米2課を訪問し、当該国民年金の実質減額の是正について早期解決を申し入れて以降、本紙を通じて当時の高橋ニューヨーク総領事に早期解決の取り組み要請の投函キャンぺーンを展開し、多くの方が投稿をしてくださいました。その結果、外務本省からの訓令で本件の担当窓口は2018年8月から正式にワシントンの米国大使館となりました。

 以降は杉山米国大使宛に同様の投稿キャンペーンを行い、私も杉山大使宛に早期解決の要請の手紙を出したり、2019年11月にはワシントンの日本大使館を訪問し担当窓口の吉田書記官と面談もしました。しかしながら交渉中とのことで、交渉の内容、問題点等なにも開示されず、早期の是正を重ねて依頼するに終わったことは当紙面でご報告した通りです。残念なことは、以降何も連絡は頂けませんし当方から連絡しても返事はありません。これが日本の行政の国民に対する姿勢なのでしょうか。官民お互いに誠実な姿勢で対話を重ねて世の中は良くなってゆくものです。

 私がWEPの問題を知ったのは2007年までNY総領事館で領事シニアボランティアとして勤務していた2007年に遡ります。以来WEPについての広報活動を中心にしてまいりましたが、2016年“国民年金しか受給していないのにWEPで減額された”という相談が、是正活動に切り替える契機となりました。しかし、以来3年が経つ今年の初めごろから、多くの皆様にお友達にまでお声をかけて投稿して頂いたりしてきたのに何も変わらないことに正直、自責の念を感じておりました。同時に、一個人の限界を強く感じ始め組織的、継続性のある活動にしなければと意識し始めました。

 そんな折、お二人の米国在住の方が活動の支援を申し出てくださいました。期せずしてお二人とも会計士でシカゴとサンディエゴ在住です。それ以来、協議を重ね、現在NPOを目指し米国で会社設立の申請中です。

 組織名はNenkin Support Center of Americaです。そのミッションは「我々の唯一の目的は、日本の国民年金を米国のソーシャルセキュリティシステムのなかの棚ぼた規定(" Windfall Elimination Provision" or "WEP" )の対象から外すことである。この目的達成のために、志を同じくする者を集め、ひとつの市民運動として活動を広め、継続する。目的はひとつであるため、これが達成された暁には、組織自体の存在意義について、またその後の活動について、その時点のメンバーが協議をして決定することとする。この会の存在意義は広く社会のためであり、非営利団体のものである。したがって米国歳入庁( "IRS" )に非営利団体の免税許可を申請する。」です。

 HPも作成中で、今後Facebook,Twitter等を通じて皆様も参加出来るようにいたします。活動の為クラウドファンヂングも検討しています。今後とも共に目標に向かって頑張りましょう。

 ☆引き続き駐米大使宛ての署名活動も続けてまいります。ご賛同頂ける方は大使館宛に投稿して下さい。

住所 Embassy of Japan 2520 Massachusetts Avenue, NW,
Washington D.C 20008 U.S.A.
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在米日本国大使館 冨田浩司在米日本国大使殿

SSAによる国民年金のWEP誤適用の結果、日本の年金受給者にもたらされている国民年金の実質減額の是正につき、外務省・厚生労働省にその取り組みの促進と早期解決並びに交渉内容の適宜開示を求めます。

名前:

住所:

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( プリントアウト用の署名用紙はこちらをクリックして下さい)

 または emb-consulate.dc@ws.mofa.go.jp へ同様の趣旨の投稿をして頂ければと存じます。

(文責)海外年金相談センター代表 市川俊治

緊急報告#5 (2019/11/25)

吉田書記官と面談

11/12 ワシントンDCの日本大使館で

 2019年11月12日在米日本大使館を訪問し、厚生労働省から派遣されている吉田書記官に“国民年金に関わるWEP誤適用の是正”(本件)に関しての米国社会保障庁(SSA)との対応の現況を伺って参りましたのでご報告いたします。

 冒頭、吉田書記官より「2018年8月本省(外務省)から訓令で本件について米国大使館で担当するように連絡があり取り組みが開始された。以降米国政府に照会中であるが、作業が遅れている旨の連絡も近時受けている(そのコピーをお見せいただいた)。」との説明を頂きました。40分間の面談でしたが、交渉中であることから、どこまで合意を得ることが出来又何が問題点なのか等、交渉の内容は残念ながら明らかにしては頂けませんでした。また杉山大使とはスケジュール調整ができずお会いできませんでしたが、皆さんからの杉山大使宛の投稿は、吉田書記官が保管されており具体的な訴えはしっかりと届いているように思えました。

 そもそも不当なWEPの適用に関して、適用の逃避の判断やそれに基づく支給額の校正等は、不服申立や(集団訴訟を含む)訴訟といった準司法・司法手続きにより解決するものですが(WEP被適用者へのSSAからのレターにもこの種の機会のあることが説明されています)、私の方からは本件キャンペーンを始めることとなった原点である2017年2月21日のSSA Western program Service Center からの手紙を基に、以下の要請を重ねてさせていただきました。つまり“国民年金が減額の原因となる理由”とのタイトルであるその手紙の内容は、「2013年8月我々事務所は、本部に対し日本の国民年金はWEPの対象とはならない年金のタイプに含めるべきだと本部に再考申請を提出した。本部が日本の国民年金はWEPの適用となるという2006年度初めの決定を見直した結果、その決定は依然として正しいということを知らされた。また2016年6月23日付で、再考申請を本部提出した。本部は、再び日本政府から追加ではっきりさせる証拠を得ることを含め調査を行った。そして、日本の国民年金はWEPの対象とならないリストに載っていないという理由から、私たちの手続は正しかったと言う結論に至ったことを後日知らされた」というものです。前述の通り基本的にWEP被適用者の個々の皆さんの不服申立等の法的行為は必要なのですが、このレター(外務省には資料として提出済み)からも一方で日本政府としても引き続き米国政府に働きかけを行い、今後についてはWRPが適用されないよう早期に解決して欲しい旨の要請を重ねて行いました。

 お会いして交渉の具体的内容は分からずじまいでしたが、吉田書記官がSSAに対してしっかりと交渉をしていただいていることが理解でき、今後同氏との直接のやり取りが可能となり私としてはお会いでき大変良かったと感じております。また今後のことを考えますと、米国にお住いのどなたかが、本件を組織的、継続的に共に取り組んで下さることを願っております。誤適用解消の実現の少しでも早からんことを心より願いつつ、面談のご報告とさせていただきました。

(文責)海外年金相談センター代表 市川俊治

緊急報告#4 (2019/10/19)

杉山駐米大使に是正申し入れへ

11/12 ワシントンDCの日本大使館で

 

昨年秋から在米日本大使館の杉山大使宛に、国民年金に対するWEP誤適用是正の取り組み促進と早期解決、並びに交渉内容の開示を求める嘆願書の投稿キャンペーンを展開してまいりました。

この度、ワシントンDCを講演で訪問する機会を捉え、杉山大使との面談を申しれていた所、先般大使との面談は調整中であるものの、ご担当の吉田書記官との面談が11月12日(火)可能である旨の連絡を頂きました。

これも、皆様の投稿の成果であると確信いたします。面談を通して、SSAとの交渉の現状、問題点、今後の展開等種々伺えるものと期待しております。

会談が早期解決に向けて有益なものとなるため、賛同いただける方は下記に署名頂き在米大使館に投稿してください。また、投稿を周りの皆様にも再度呼び掛けていただければと存じます。皆さんの声が在米日本大使館に届き本件が早期に解決することを心より願っています。

 

住所 Embassy of Japan 2520 Massachusetts Avenue, NW, Washington D.C 20008 U.S.A.

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在米日本国大使館 杉山晋輔在米日本国大使殿

11月12日の杉山大使、吉田書記官との面談を通じ、国民年金へのWEP誤適用問題の交渉の現状、問題点、今後の展開等の情報が開示され、早期解決に向けて前進となることを要望いたします。
名前:
住所:

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( プリントアウト用の署名用紙はこちらをクリックして下さい)※または emb-consulate.dc@ws.mofa.go.jp へ同様の趣旨の投稿をして頂ければと存じます。   ***********************************************
文責)海外年金相談センター 代表 市川俊治

 

 

緊急報告#3 (2019/2/6)

在米日本国大使館に再度訴えよう

国民年金減額阻止へ アクション2019

国民年金に対するWEP(「棚ぼた排除条項」 Windfall Elimination Provision)誤適用の是正交渉窓口がワシントンの日本大使館に移ったことからその取り組みの促進と早期解決を求め在米日本大使館の杉山晋輔大使宛てに皆様の投稿を呼び掛けて参りました。その後、昨年12月外務省北米2課に現況を問い合わせてところ“大使館から米側関係省庁に照会をかけており,引き続き対応中”との返事に留まりました。少なくとも米側に是正を申し入れたことは間違いないと思いますが交渉で何か問題があるのかないのか、米側の対応はどんな状況なのか全く分かりません。もし一回の申し入れで止まってしまっているなら、待ちの姿勢を取り続けるのではなく何度でも定期的に検討の申し入れを執拗に行なうべきであると考えます。

今まさに一揆加勢に改善の努力を行わないと本件の改善は今後難しいでしょう。そこで日本国大使館に対して交渉の促進を促すべく再度の投稿を皆様に呼び掛けたいと思います。

ここで誤適用是正キャンペーンのきっかけとなった事実をお伝えしておきます。

一昨年、国民年金に対してWEPの適用を受けたAさんから相談があった時、WEP適用の理由をSS(Social Security)オフィスに確認してもらいました。そのオフィスでは国民年金はWEPの対象ではないとして既に2013年8月に米国社会保障局(SSA Social Security Administration)本部に問い合わせをしていましたが、2016年6月再考の申請をしてくれました。その後オフィスから本部からの回答として “本件につき、再び日本政府から追加で明確な証拠を得るための調査を行った。その結果、国民年金はWEP適用の対象外とはならなかった”との旨の説明が書面で送られてきました。日本政府が国民年金制度を正しく伝えれば簡単に改善が期待できる事案であると推察されます。

この誠実なSSオフィスのレターを受けて、日本政府に対して早急にSSAに“国民年金の適用除外リストへの掲載”の要請を求めることとなった次第です。

適用除外リストはSSの運営マニュアル規定のガイドライン上にあり米国と社会保障協定を締結している国の内7か国がリストアップされています。日本は2005年10月に協定を締結しました。

このリストは公開されていますので国民年金が当該リストに追加された以降は必要に応じそのコピーをSSAの窓口に提示すれば国民年金の誤適用の問題は解決するわけです。本件は規則の改定ではなく適正な運用の要請です。米国人が大切するFairnessの要請なのです。

とまれ、在留邦人の皆様には是非再度杉山大使宛ての投稿を周りの皆様に再度呼び掛けていただければと存じます。皆さんの声が在米日本大使館に届き本件が早期に解決することを心より願っています。これに賛同いただける方は下記に署名頂き在米日本大使館に投稿してください。

住所 Embassy of Japan 2520 Massachusetts Avenue, NW,
Washington D.C 20008 U.S.A.
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在米日本国大使館 杉山晋輔在米日本国大使殿

SSAによる国民年金のWEP誤適用の結果、日本の年金受給者にもたらされている国民年金の実質減額の是正につき、外務省・厚生労働省にその取り組みの促進と早期解決並びに交渉内容の適宜開示を求めます。

名前:

住所:

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プリントアウト用の署名用紙はこちらをクリックして下さい
※または emb-consulate.dc@ws.mofa.go.jp へ同様の趣旨の投稿をして頂ければと存じます。
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(文責)海外年金相談センター 代表 市川俊治

緊急報告#2(2018/10/23)

在米日本国大使館に訴えよう!

年金減額にNO!!

現在SSA(米国社会保障局)による国民年金のWindfall Elimination Provision(WEP・棚ぼた排除条項) 誤適用の結果、日本の年金受給者に年金の実質減額がもたらされています。その是正のため在留邦人の皆様に外務省・厚生労働省にその取り組みの促進と解決を求めるべく本年7月から当時の高橋礼一郎在ニューヨーク総領事宛てに投稿を緊急報告#1で呼び掛けてまいりました。在留邦人の皆さんの声が在ニューヨーク総領事館を通じて外務省に届き、本件が動き出すことを願ってのことでした。その後、9月12日の講演のため訪問したNY日系人会でNY総領事館の領事部長と面談を致しました。部長からは「WEPの件はワシントンの在米大使館に窓口が移りました」との説明がありました。やっと本件の日本サイドの交渉担当となるべき所に窓口が移ったわけでこの点は皆さんの投稿の成果であることをご報告いたします。

ただ、「どのくらい投稿がありましたか」との私の問いかけに対して部長からは「1件です」との返事。思わぬ返答に”開いた口がふさがらず”状態となりました。「そんなことはありえない」と返したところその場で領事館と携帯で連絡を取られた結果「36件」でしたとの返事。在米の日本国民が老後の生活設計を考えた場合の悩ましい問題への受け止めはこんなものです。情けない限りです。領事改革は後戻りの状態との印象を強くした次第です。兎にも角にも窓口はワシントンに移りましたが、今の所状況改善は聴こえてきません。最後の詰めが重要です。在米日本国大使館の杉山晋輔大使には本件窓口への謝意と解決へのご尽力の要請書簡をお送り致しました。在留邦人の皆様には是非NY総領事宛てに投稿したと同様に杉山大使宛ての投稿を呼び掛けていただければと存じます。在留邦人の皆さんの声が在米日本国大使館に届き、本件が早期に解決することを願っています。これに賛同いただける方は下記に署名頂き在米日本国大使館に投函して下さい。

住所 Embassy of Japan 2520 Massachusetts Avenue, NW,

Washington D.C 20008 U.S.A. 

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在米日本国大使館
杉山晋輔在米日本国大使殿

SSAによる国民年金のWEP誤適用の結果、日本の年金受給者にもたらされている国民年金の実質減額の是正につき、外務省・厚生労働省にその取り組みの促進と早期解決を求めます。

名前:
住所:
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プリントアウト用の署名用紙はこちらをクリックして下さい

または emb-consulate.dc@ws.mofa.go.jp へ同様の趣旨の投稿をして頂ければと存じます。


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(文責)
海外年金相談センター 代表 市川俊治

 

緊急報告#1

在ニューヨーク総領事館へ訴えよう。国民年金の実質減額の是正を!!

 

私は昨年11月11日の『週刊NY生活』の紙面(23ページ)で“米国在住の受給者を悩ます日本の年金3つのハザード”を説明しました。

※掲載紙面の詳細はこちらをクリックして下さい

※記事全文はこちらをクリックして下さい

その一つに、WEPの減額の対象外である国民年金が誤って減額対象として処理された場合、修正手続きがなかなか進まないケースが増加していることを取り上げました。

※WEPの詳細についてはこちらをクリックしてご覧下さい。

そして“国民年金が減額の原因となる理由”というSSAからのレターを根拠に、それを是正するためにはSSA(米国社会保障局)に対しSSのPOMS(プログラム運営マニュアル)にある“勤労以外に基づくWEPの対象とならない年金(居住等に基ずく)が存在する国のリスト”に日本の国民年金も追加できれば、WEP誤適用の修正がスムーズに行われることが判明した事実をお伝えしました。なおPOMSはあくまでマニュアルで、条約に基づいた法ではありません。

その後この記事をお読みになった方から是非日本政府に働きかけてこの事態を解決して欲しいとの励ましもいただきました。

本件の日本国内の窓口は、年金に関することなので本来は厚生労働省国際年金課ですが、本件は外国制度への要望ということで、まずは外務省北米2課が窓口と判明。1月17日北米2課の担当者と面談し資料をもとに状況を説明し対応を依頼しました。その後毎月、ご担当者にE-メールで進捗状況の確認を致していますが、回答がある時は“何か進展あればご連絡させていただきます”に留まっている状態でした。そんな中、6月に頂いたご返事に“関係省庁にも聴いておりますが,なかなか一筋縄でいかず”とのコメントが有りました。これに私は危機感を覚え、6月18日厚生労働省国際年金課に電話をして本件直接お会いして説明をさせていただきたいと申し入れました。残念ながら“外務省が窓口ですので”の一点張り、そこには最終担当窓口として国民年金加入者の陥っている不公平な現況を是正し、年金加入を推進して国民の老後の年金制度を育成していこうという熱意は全く感じられませんでした。このままでは、在米の国民年金任意加入者の一斉脱退を引き起こし、国民年金自体にも影響を与えかねません。

私も米国の皆さんの期待に何も応えることが出来ず、正直追い詰められた気持ちに追い込まれていました。そんな時12月16日当紙面に投稿してくださったシェルド裕子様の“本件全米の年金受給者が声をあげて行く必要があると思います。そして日本大使館や領事館をもバックに訴えていく必要があるのではと思います”との呼びかけを思いだしました。その通りです!!

日本の年金受給者の皆さん!日本の年金に加入されている皆さん!

是非本件が前に進むようその声を在ニューヨーク総領事館に届けて下さい。

在留邦人の皆さんの声が在ニューヨーク総領事館を通じて外務省に届き、本件が動き出すことを願っています。

 

ご賛同いただける方は下記に署名頂き在ニューヨーク総領事館に投函して下さい。

Consulate General of Japan

299 Park Avenue, 18th Floor,

New York, NY 10171

 

在ニューヨーク日本国総領事館

高橋礼一郎在ニューヨーク総領事殿

SSAによる国民年金のWEP誤適用の結果、日本の年金受給者にもたらされている国民年金の実質減額の是正につき、外務省・厚生労働省にその取り組みの促進と解決を求めます。

名前:

住所:

 

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(プリントアウト用の署名用紙はこちらをクリックして下さい)

 

または、同総領事館の「領事相談コーナー」(アドレスは下記)へ同様の趣旨の投稿をして頂ければと存じます。

ryoji@ny.mofa.go.jp

 

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(文責)

海外年金相談センター 代表 市川俊治

週刊NY生活2018.07.07号 掲載原稿

(掲載紙面の詳細はこちらをクリックして下さい))