【No.09】遺族年金

亡くなられた方の加入状況などによって、「遺族厚生年金」「遺族基礎年金」のいずれか、または両方の年金が給付されます。遺族年金の受給は年金加入期間25年以上が条件ですが、幸い米国にお住いの方は「日米社会保障協定」及び「カラ期間」のお陰で加入期間が25年未満の方でも受給資格が生じます。遺族年金は残された家族にとり大切な生活資金です。是非制度を理解されておかれることをお勧めします。

1どんな人が亡くなった時に遺族年金は支給されるのか

(1) 遺族厚生年金の受給要件

 厚生年金の加入者(被保険者)又は加入者であった方が、次のいずれかの要件に該当する場合、死亡した方によって生計を維持されていた「配偶者」、「子」等が受け取ることが出来ます。

 ①厚生年金の加入者(被保険者)である間に死亡したとき②厚生年金の加入者であった間に初診日がある病気やケガが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき③1級・2級の障害厚生年金の受給者が死亡したとき④老齢厚生年金の受給権者であった方又は老齢厚生年金の受給資格期間をみたして死亡したとき(いずれも保険料納付期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限られます)

 ①は米国在住者で日本の厚生年金加入者は当然に該当します。これ以外に厚生年金加入者であった方がその後米国に移住し、米国年金加入中に亡くなった場合は日米社会保障協定により日本の制度に加入していたものと見なされ遺族年金を支給されます。

 ②は①で説明した通り、米国年金の加入期間中は条件を満たせば日本の年金制度に加入していたとみなされますので、米国企業に勤務中の初診日の記録を書面で残しておくことは重要です。

 ③は記載の通りです。

 ④は遺族年金の受給資格は加入25年以上が条件です。一方米国にお住まいの方の場合は受給資格の算定上「日本の年金加入期間」+「カラ期間」(日本国籍で海外に在住していた20歳から60歳までの期間)+「米国年金加入期間」を合算して25年以上あれば受給資格を満たすことが出来ます(重複する期間は除く)。ですから多くの方が日本の遺族年金の受給資格を取得することが出来るわけです。例えば亡くなられたご主人の日本での年金加入期間が少ない場合でも、米国年金やカラ期間を加算すれば遺族年金を受給できますので是非見直されては如何かと思います。

(2)遺族基礎年金の受給要件

 遺族基礎年金は、次のいずれかの要件に当てはまる場合、死亡した方によって生計が維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることが出来ます。①国民年金の加入者(被保険者)である間に死亡したとき②国民年金に加入していて今は加入中ではないが、60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき③老齢基礎年金の受給権者であった方が又は老齢基礎年金の受給資格期間をみたした方が死亡したとき(いずれも保険料納付期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限られます)

 なお遺族厚生年金及び遺族基礎年金の受給要件①、②については次の保険料納付用件があります。つまり死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの被保険者期間に、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが必要です。

 注意していただきたいのは、②の要件です。以前国民年金に加入していたが受給資格期間に満たない方で、年齢が60歳以上から65歳未満である方が亡くなった場合、亡くなられた方が日本に住んでいれば遺族基礎年金を受給でき、海外に住んでいると受給できないことになります。これは、海外在留者の方にとって不公平な要件ですね。この件は別途取り上げみんなで改善を目指しましょう

2.どんな人が遺族年金を受給できるのか

(1)遺族厚生年金を受け取れる遺族の要件

 遺族厚生年金を受け取れる可能性のある遺族は、亡くなった人に扶養されていた妻、子、夫、父母、孫、祖父母です。このうち最も順位の高い人(後で説明します)に遺族年金が支給されます。また、「扶養されていた」とは、「一緒に生活し、年収が850万円未満であること」をいいます。遺族の国籍は問いませんが、妻以外の遺族は次の要件も満たす必要があります。①夫 妻の死亡時に年齢が55歳以上であること。ただし遺族年金は夫が60歳になってから支給されます。②子、孫 18歳になった後、最初の3月末までの子または孫。(日本でいえば、高校卒業までの子又は孫)③父母、祖父母 本人死亡の当時、55歳以上であること。ただし、遺族年金は60歳になってから支給されます。

*遺族厚生年金を受ける順位

 第1順位 妻、子、夫、第2順位 父母 第3順位 孫 第4順位祖父母の順となります。第1順位の中には①子のある妻②子③子のない妻④55歳以上の夫の順となります。例えば妻が再婚して遺族年金をもらえなくなったときは、子供がもらえるようになることがあります。子と夫の関係も子がもらえなくなったら夫がもらうことになります。第1順位の遺族がいるときは第2順位以下の遺族は年金を受けることはできません。

(2)遺族基礎年金を受け取れる遺族の要件

 遺族基礎年金を受け取れる遺族は、亡くなった人により生計を維持されていた「子のある配偶者」か「子供」です。これまでは母子家庭が主な対象の制度で、子を持つ夫が妻に先立たれた場合は支給されませんでしたが、時代の流れに従い、2014年4月からは「子供を持つ夫」つまり父子家庭になった場合も遺族基礎年金を受け取れるようになりました。

 また国民年金の独自給付として「寡婦年金」と「死亡一時金」があります。

 国民年金の第1号被保険者(簡単に言えば自営業者、非勤労者の学生、無職の方)の遺族である配偶者に子供がいない場合は、遺族基礎年金は支給されません。遺族基礎年金が受けられない場合には「寡婦年金」又は「死亡一時金」が支給されます。寡婦年金の受給資格は①第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が25年以上ある夫が亡くなった場合②10年以上継続して婚姻関係(事実婚を含む)にあり、生計を維持されていた妻であること③死亡した夫が老齢基礎年金を受給してないこと又は障害基礎年金の受給権がないこと。寡婦年金の支給期間は60歳から65歳になるまでの有期年金です。寡婦年金の年金額は、夫が生きていたらもらえるはずであった老齢基礎年金の4分の3です。死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときは、その方と生計を同じくしていた遺族(1配偶者2子3父母4孫5祖父母6兄弟姉妹の中で優先順位が高い方)が受けることができます

 死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて120,000円~320,000円です。保険料納付月数が36月以上180月未満 120,000円 420月以上 320,000円です。当然ながら遺族が、遺族基礎年金の支給を受けられるときは支給されません。また寡婦年金を受けられる場合は、死亡一時金かどちらか一方を選択します。死亡一時金を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年です。

3.遺族年金の給付の種類と年金額

(1)遺族厚生年金の場合 

 *遺族厚生年金の年金額は、亡くなられた方の老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額のほぼ4分の3です。

 また65歳以上で老齢厚生年金を受ける権利がある方が、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るとき以下の①と②の額を比較し、高いほうが遺族厚生年金の額となります。①亡くなられた方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額②「上記①の額の2/3」と「ご本人の老齢厚生年金の額の1/2」を合計した額です。

 *中高齢寡婦加算

 遺族厚生年金の受給要件で短期用件(①から③)に該当する夫、又は厚生年金の加入期間が20年以上ある夫の死亡時に40歳以上65歳未満の妻が受ける遺族厚生年金には、中高齢寡婦加算(612,000円)が加算されます。ここで注意すべきは、日米社会保障協定の発効により、米国年金加入期間と厚生年金加入期間とを通算して20年以上あれば厚生年金加入期間が20年未満でも加入期間に応じた額が寡婦加算として支給されることになりました。(2005年11月以降)例えば夫の厚生年金の加入期間が10年で米国年金加入期間を加算して20年以上になれば半分の306,000円が支給されます。

 *65歳以上になると経過的寡婦加算として妻の生年月日により一定額が支給されます。遺族厚生年金を受けている妻が65歳になり、自分の老齢基礎年金を受けるようになったときに65歳までの中高年付加加算に代わり加算されます。これは、老齢基礎年金の額が中高齢付加加算の額に満たない場合が生じるときに、65歳到達後における年金額の低下を防止するために設けられたものです。

(2)遺族基礎年金の場合 

(1)支給額は816,000円+子の加算額(Ⅰ人目及び2人目の子の加算額は234,800円、3人目以降は一人当たり78,300円))(2)子が遺族基礎年金を受給する場合子が一人の場合は816,000円。加算は第2子以降について行い、子一人あたりの年金額は、上記による年金額を子供の数で除した額。

<8>年金受給者が亡くなられた時の手続き

【日本の年金】
 年金の受給期間は受給資格を取得した月の翌月から死亡した月までです。年金の支給時期は偶数月つまり2,4,6,8,10,12月の年6回振り込まれます。支払月に前月、前々月の分が支払われます。例えば4月振り込まれるのは2月分と3月分が振り込まれます。4月に死亡された場合、4月分まで支給対象となりますから6月になって4月分が振り込まれることになります。しかし死亡届けが提出されていないと5月分も自動的に振り込まれてしまいます。そうなった場合は5月分を返却する必要が生じ面倒な手続きが発生してしまいます。ですからこの場合は、5月分は振り込まれないように死亡届を早く提出する必要があります。

 死亡届が提出されないと最大1年間分の過払いが生じ、その分を日本年金機構に返却する義務が発生します。最大1年となる理由は、毎年「現況届」が誕生月に提出されないと年金の支払いが自動的にストップするからです。
 では年金受給中の方が死亡した場合、周りの方はどう対応すればよいのかをご説明いたします。

(1)年金支給を止める為の手続き
 年金の支給を止めるために「年金受給権者死亡届」(様式第515号)を年金事務所に郵送するか日本在住の方に届けてもらいます。「年金受給権者死亡届」は日本年金機構のHPで検索すれば簡単に取得できます。届出の項目は死亡した年金受給者の①基礎年金番号、年金コード②生年月日③名前④住所⑤死亡年月日です。死亡届の添付書類として死亡診断書(Death certificate)の提出が必要です。その際、主要な項目の翻訳を行い、翻訳者の氏名も記載してください。主要な項目とは死亡者の①氏名、性別、生年月日②死亡の日時③死亡の場所④死亡原因です。

 予め「年金受給権者死亡届」に①から④までを記載しおき、あとは死亡日だけを記入すれば良い状態で備えておくのも良いと思います。死亡届を提出する先の年金事務所は基本何処でも良いです。年金事務所の住所等の案内は日本年金機構のHPで検索できます。なお日本年金機構のHPにマイナンバーを登録されている方は、原則として「年金受給権者死亡届」の提出を省略できますと説明されています。これは前提として住民票を日本の市町村役場に提出されている方の死亡届が管轄の市町村役場に提出されれば、死亡の情報が自動的に日本年金機構にも共有されるので「年金受給権者死亡届」の提出の必要は無いということです。マイナンバーを日本年金機構に登録されている方でかつ住民票が日本にある方の場合に限られますのでご注意ください。

(2)未支給がある場合
 年金を受給されている方が亡くなったときに、まだ受け取っていない年金や、亡
くなった日より後に振込まれた年金のうち、亡くなった月分までの年金につい
ては、未支給年金として死亡された方と生計を維持されていた遺族が受け取る
ことができます。例えば上記の例で4月に亡くなられると4月分まで年金の支
給対象となりますが、死亡届の提出により4月分の受取人が不明のままとなっ
てしまいます。そこで未支給分の請求権利者が未支給請求を行ないます。請求の
権利が出来る方は、死亡した受給権者と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、
孫、兄弟姉妹、その他3親等の順になります。又、生計を維持するとは①原則、
同居していたこと②受給対象者の前年の収入が850万円未満であることです。
未支給の請求は未支給年金・未支払給付請求書(様式第514号)で行います。
添付書類として①年金証書・年金手帳②生計同一の申立書他です。年金受給権者死亡届(様式515号)が複写となった書類です。日本年金機構のHPで検索すれば未支給年金・未支払給付請求書および年金受給権者死亡届(報告書)についてその説明と用紙が取得できます。

(3)遺族年金
 遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者(現在保険料を払っている方)または被保険者であった方(過去に保険料を払っていた方、年金受給者)が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。遺族年金の受給権のある場合は別途手続きが必要となりますが詳細は別途ご説明します。

【米国の年金(日本在住の方の場合)】
 米国年金の受給期間は、受給者の死亡月の前月分までです。日本の年金は死亡月まで受給できますがこの点は異なりますのでご注意ください。

 米国年金は日本国内では翌月払いですので例えば4月に振り込まれるのは3月分です。ですから4月に亡くなられた場合は4月振込分まで受け取れることになります。死亡連絡のタイミングによって過払い分が発生することになりますが、その際には年金課から過払い分の返金方法について案内があります。

(1)年金支給を止める為の手続き 
 年金支給を止めるために以下の情報を適宜用紙に記載して米国大使館年金課に郵送します。更に亡くなられた方の除籍謄本を1通同封されてください。
届出の項目は死亡した年金受給者の①氏名②Social Security番号(不明な場合は生年月日)③生年月日④死亡日⑤死亡した場所(都道府県名)さらに連絡される方の⑤氏名⑥連絡先⑦受給者との関係です。郵送先は〒107-8420 東京都港区赤坂1丁目10-5米国大使館領事部年金課です。

(2)配偶者・家族年金・死亡一時金について
 要件を満たせば死亡者の配偶者(9か月間以上故人と結婚している)、子供だけではなく親にも遺族年金が支給されます。また葬式費用として$255の死亡一時金が死亡者の家族に支払われます。死亡時から2年以内に申請する必要があります。
遺族が米国年金を受給している場合、上記の年金支給を止める手続きをすれば自動的に配偶者・家族年金から遺族年金への切り替えと死亡一時金支払いの手続きが年金課で行われます。遺族が米国年金を受給していない場合は米国大使館年金課までお問い合わせください(電話03-3224-5000)